個人事業主に仕事を請け負ってもうといったことがありますが、これを請負契約による「外注費」として処理していても、ケースによ手は税務調査で「給与」と指摘されてしまうことがあるので注意が必要です。
外注費と給与の取り扱いの相違点
業務委託契約(請負契約)による外注費も、雇用契約による(損金)として処理しますが下記のような相違点があります。
外注費・・・原則的に源泉徴収義務はない(所得税法に規定される「報酬・料金等」に格闘する場合は源泉徴収が必要)。
・・・消費税の仕入税額控除の対象となる。
・・・社会保険の義務がなく保険料の負担がない。
給与・・・給与所得として源泉徴収が必要。
・・・消費税の仕入税額控除の対象にならない。
・・・契約元が法人であれば、社会保険への加入義務があり、保険料負担が発生する。
外注費か給与かは実態で判断される!
業務委託契約によるものはすべて外注費と認められるかというと、そうではありません。税務調査では、実態で判断されますので注意が必要です。
[A工務店のケース]
A工務店は元社員で独立したBさん(個人事業主)と業務委託契約を結んで先々月から仕事をしてもらっています。顧問税理士さんから次のような指摘がありました。
税理士: Bさんへは毎月30万円ずつ支払われていますが、Bさんとはどのような契約になっていますか。
社長: 社員時代、Bさんは確かな仕事をしてくれていましたので、独立後も業務委託契約を結んで仕事をしてもらっています。契約期間は1年で更新が可能です。請負金額は年間360万円で均等支払としています。交通費等の諸経費については、一旦Bさんに立て替えてもらって毎月精算しています。
税理士: これらを外注費として処理されていますね。
社長: そうしています。業務委託契約に基づいて支払っているので問題はないと思いますが・・・。
税理士: 外注費とすることは問題がありそうです。業務委託契約を結んでいるとしても、この場合はBさんさんへの給与と見られかねません。というのも、退職前と類似の仕事をしてもらっていること、毎月30万円の定額の支払があり委託した仕事の内容が特定されていないこと、、また本来Bさんが負担すべき諸経費を当社が負担していることなどから、雇用契約と判断される可能性が高いといえます。給与として認定されれば、所得税の源泉徴収(注)も必要になります。また消費税の仕入税額控除の対象になりません。
社長: そうですか・・・。それでは、毎月定額の支払や諸経費の当社負担などの契約内容を見直すことにします。
税理士: Bさんは独立した事業者ですから、以下の「判断ポイント」に抵触しない実態が伴わなければなりません。
(注)扶養控除等申告書の提出がないと所得税の税率が高い「乙欄」での源徴収となります。
!外注費になるか給与になるかの判断ポイント
以下のような事項に該当する場合は、外注費でなく給与と判断される可能性が高くなります。十分注意しましょう。
①当社は外注先に対して、他社の仕事を請け負うことを制限している。※あるいは外注先が当社以外の仕事を受ける際は、当社の承諾を必要としている。
②外注先が負担すべき交通費等の諸経費を当社が負担している。
③外注先に対して、仕事の進め方・内容について具体的な指示・命令等を行っている。※当社がスケジュールを作成し、勤務時間や勤務場所を指定してるなどは誤解を招く。
④仕事に必要な道具や材料を当社が支給している。
⑤請負報酬について外注先は自ら計算せず、かつ請求書を発行していない。※外注先の請負報酬を自給や月給等の時間単位で計算するような場合は、給与とみなされるおそれがある。残業手当や賞与等に類した支払も問題になる。
⑥外注先が当社の退職者で在職中と同じような業務をしている。
⑦損害賠償規定が契約書に盛り込まれていない。※雇用契約であれば、原則的には損害賠償規定は盛り込まれない。